「環奈?」
名前を呼んで、
現実世界に環奈を呼び戻そうとすると、
「と、止まらない、手が震えてて…
どうしたら…え?」
そう泣きそうな環奈を見て、
我慢が出来なくなった俺は
環奈を話の途中で抱き寄せた。
背中をポンポンと軽く叩くと、
固まっていた環奈も、
俺に寄りかかってくる。
こんな時まで可愛いなんて反則。
なんて不謹慎なことを思いながらも、
昔の環奈を知っているであろう、
先程、体育館にいた奴に
不快感を感じずにはいられなかった。
あいつが環奈の暗い過去に関わっているのは
ほぼ間違えない。
だが、その肝心な過去をまだ俺は知らない。
何も出来ない。
そんな自分の不甲斐なさが嫌になる。

