あれ?
でもここ、東京、なんだけどな。
何で先輩がここに?
ん??
「環奈?」
大声で名前を呼ばれ、
夢のような何かから引き戻される。
そして私の背中をさすりながら、
覗き込んでいたのは
「たい、ち…くん…?」
何で…
家に帰ったんじゃ…
あれ、一ノ瀬先輩は…?
だんだんと落ち着いてくる呼吸を確かめながら、
まわりを見渡す。
いつもより余裕の無い隼人と太一君以外は
もちろん誰もいない。
気のせい、か。
「…ごめ、ん。シャツ、掴んでた。」
一ノ瀬先輩のことはとりあえず忘れることにして、
そう息切れしながらも、
太一君から離れようとすると…

