当たり前のようにそう言った隼人を見つめたまま、

数秒が経過する。


確かに、その通り、ではあるけど…

予想以上にモテる太一君と、
このまま一緒にいる時間が多かったら…

いや、太一君だけじゃない。

隼人やバレー部の人ともだ。



油断した隙に

脳裏に流れ込む記憶。




『もう、あんな思いはしたくない。』




心の中で
昔の私がそう言う。




『大丈夫。太一君と隼人なら。

だいじょ…『何でそんなことが分かるの?』』




大丈夫だと、

自分に無理矢理言い聞かせようとすると、

昔の私がやっぱり邪魔をする。



目が回ってるみたいにフラフラして頭をおさえると、

自分の息が上がり始めていることに気付いた。






苦しい。

息が…出来ない…。



誰か…


助けて








「おい環奈!!」




ぼやける視界に

懐かしくて、
でも会いたくなかった人の顔が浮かんだ。




「一ノ瀬…先輩」