しゃがみこんだまま、
じっと考えこんでいると
足音が近づいてきて、
私の横で止まる。
「全部丸聞こえでしたけど。」
そう、太一君の方を見ないで言うと、
「悪い。まあ予想はしてたけど、
あのまま環奈をどっか行かせたらダメな気がしたんだよ。」
……太一君は悪くないのに、
なぜだか少しイライラする。
太一君は私の彼氏じゃないのに。
誰かにとられるのは嫌だ。
なんて思ってしまう。
「よくあるの?」
「そうでもねーよ……
月1あるかどうかくらい。」
「…好きな人って、どんな人?」
月1あるかどうかって、
どんだけモテるの、この人は。
そう思いながらもまだ太一君の方は向かない。
いや向けない。
うまく、笑えない気がして。
私の問いにしばらく考えこんだ太一君は、
私の隣に座り込んで、
「頑張り屋で、可愛いくて、カッコ良い子」
そうこたえた。
可愛くてカッコ良い、か。
きっと太一君と並んだらお似合いなんだろうな。
そんな要素を持ち合わせていない私には
何もできないけど。
「可愛いんだ…」
やっぱり、私の気持ちは
誰にも言えない。

