太一君に言われた通り、
屋上への扉がある位置の少し横のスペースに座り込む。
何でわざわざここまで?
太一君、何でここ来たの?
そんな疑問が頭の中をぐるぐるとまわっている時、
タンタンタンと、
階段を駆け上がって来る音が聞こえてきた。
え?
本当に、誰か来た?
「よっ」
「せ、瀬戸君!私が呼び出したのに待たせてごめんね!」
そんな可愛らしい声が
太一君の短い挨拶の後に聞こえてくる。
太一君の…かの、じょ?
その声の主を見たい衝動に駆られるが、
我慢して音を立てないようにする。
「場所、移動しよーぜ。
ここ、見つかったら怒られそうだし」
そう提案する太一君は、
きっと私のことを気にかけてくれてるんだろうけど、
今はそれどころじゃなかった。
やっぱり…
やっぱり彼女いるんじゃ…
ショックをうけれる権利も持っていないくせに、無性に悲しくなる。
すると、
「す、すぐ終わるから!ここで…
あの、私、瀬戸君のことが好き、です…。
えっと…いきなりごめんね。
よ、良かったら私と付き合ってください。」
そう震える女の子の声が再び聞こえたんだ。

