まあでも、
お父さんが写真家じゃなかったら、
私も写真家じゃないかもしれないのか。
…やっぱりお父さんに文句は言えないな。
そう思いなおし、
パックのジュースにストローをさした瞬間、
「え、環奈?」
そう、いつの間にか目の前にいた人から名前を呼ばれたんだ。
「こ、ここ立ち入り禁止…」
「そっくりそのままお返しするけど?」
そう笑いながら、
私が座っている段より2段下に座って
振り返ったのは太一君だった。
「だ、誰にも言わないで。」
「……今朝ので注目されてんの?
確かに、もう廊下は結構人いるから、
ここにいた方が良さそうだなー」
さすが察しが早過ぎる。
……って、あれ?
そもそも太一君は、何でここに?
そう不思議に思い、
尋ねようとすると、
「よしっ…
そこの壁のかげに居ろ。
良いって言うまで出てくんなよ」
「え?ここでも充分なんじゃ…」
「はやくしないと、人来るぞ」
と、ニヤッと笑われたんだ。

