「おーい、コート入るぞ」
私たちの斜め前でふり返って、
口を大きく開けて笑う監督。
「あ、はーい!」
助かった。
そう返事をしながら2人の間をすり抜ける。
こわかった…。
あ、
視界ギリギリに太一君が入り、
思わず逆方向に顔を背ける。
無理無理無理。
こっちもダメだ!
「あ、練習試合の時のカメラマンだ。
マネになったんだ?」
「え?あ、」
チーム内の人に絡まれ、
もう誰にも話しかけられたくないと思っていた。
そんな時に、
藤塚の、エースさん!?
喉で止まって出てこない声。
で、でかい、
じゃなくて…。

