もし、本当にキス、するなら
絶好の位置に太一君の顔がある。
…どう、しよう。
「き、昨日はありがとう!
太一君のおかげで、
いつもより元気になっちゃったよ」
「だろうなー…
昨日一日俺がずっと一緒にいたからな。」
そう、ずっと、を
強調してクシャッと笑う太一君。
とくんっ…
好き。
ここが試合会場だと忘れて、
そう呟きそうになったところでのみこんだ。
ダメだ。
うるさい自分の胸を、
服の上からおさえて、
「だ、だから…太一君の力になれることあったら言って欲しい。
力になるか、ら?」
そう、言い終わる前に
目の前の太一君の身体が私の方に倒れて来て、
太一君の頭が私の肩の上にのっかる。
「え?」
「30秒、このままでいさせて。」

