太一君の言葉で

スッと心に風が吹いた気がした。



今まで、誰かに

カメラ以外のことで相談したことがなかったということを思い出して。




「初めて環奈に会った時、

こいつすっげぇカッコ良い…って思ったけど、


今は、カメラ以外のことだと、

普通の女子なんだなって、そう思ってる。

誰にも頼らずになんて考えんな。


って、おい…環奈?」




そう私に近付きながら、

のぞきこむ太一君。


それもそのはず。


我慢していた涙が

頬をつたっていくのが分かる。



目の前のこの人は

どうしてこんなにも



私が欲しい言葉をくれるんだろう?



強がりで可愛くなくて、

誰にも頼れなかった私に…。



いつもの倍の速さで手を動かし、

写真を整理すると

担当の編集者にファイルを送った。



そして、




「す、少しで、いい、の。

抱きついても、いい?」




そう精一杯の

我儘を言ったんだ。