「あの子可愛い」


「本当だ、どこのマネだ?」


「あのジャージ、花崎だろ」


「何だ、今日の主役様のとこね」




花崎、

その言葉に振り向こうとすると




「そっち見んな。」


「え?」




そう太一君に腕をひかれる。

私、もしかして歩くの遅かったかな…

そんなことを考えながら

騒がしい体育館横まで歩く。



今日は、東京予選1日目。

会場である、とある私立高校に来ている。


この学校、広すぎ。




「環奈、色々危ねーから

出来るだけ1人になるなよ。」


「危ない?」




そう聞き返す私を見て、

太一君は大きなため息をついてから

私の両肩に手をついて目線を合わせて、




「月曜のこと、もう忘れたのかよ」




そう言った。