家に戻った私はすぐに母さんが寝ている部屋に入って母さんの様子を確かめた。母さんの顔に耳を近づけると鼻から規則的に呼吸をする音が聞こえる。母さんが息を吹き返したのを見て、私は布団の横で泣き伏してしまった。母さんが戻ってきた! 母さんは生きている! 私の胸は幸福と安堵感で満たされた。
額に手を当てると熱が下がっているのがわかり、どうやら病気も峠を越したみたいだ。
そこへ、夜中にゴソゴソしている私に気づいた父さんが入ってきた。朝から雪掻きと仕事が控えているのに私が物音を立てているものだから、父さんは不機嫌そうな顔をしている。
「おい、さっきから何をしているんだ。母さんの調子が悪いのか」
「うん。さっきまでひどかったんだけど治まってきたのよ。あれだけしつこかった熱も引いてきたのよ」
私は目もとの涙を拭いながら微笑んだ。私が母さんのそばで泣いているのに父さんは気づいた。
「そ、そうか。母さんのことが心配なのはわかるがお前もあまり無理をするな。お前も明日から学校が始まるだろう。父さんだって交代で看病するからな」
母さんの病気が回復して私が涙ぐんでいるのだと父さんは思っているはずだ。
「うん、わかってる。ありがとう。父さんにお願いしたい時は言うから」
父さんに促されて私は自分の部屋に戻った。数時間後には雪掻きをする父さんのために朝食とお弁当を作らなきゃいけないから、今からでもできるだけ眠っておいた方がいい。
朝、久々に学校に登校すると校門の所で澁澤君に出会った。私と同様眠そうな顔をしている彼に私はお礼を言った。
昨夜、あの寒さにもかかわらず、澁澤君は晶子さんと一緒に私たちが消えた地点でずっと雪舟の帰還を待っていてくれた。現世に戻ってきた時に、彼らが私たちを出迎えてくれて私はどんなにうれしかったことだろう。私がこの世に戻ってこられたのはあの時も彼のくれた護符を身につけていたからだ。
別れ際に彼はその涼しげな瞳で私を見て「今度異界での話を聞かせてほしい」と言ってきた。お寺の息子としてあの世での話は興味深いのだろう。彼と話をする機会も欲しいことだし私は喜んであの不思議な時間のことを語ってあげるつもりだ。
朝のショートホームルームの前に教室で座っていると、周りでクラスメートのざわめきが聞こえた。私は皆の視線が集まる場所に目をやった。
額に手を当てると熱が下がっているのがわかり、どうやら病気も峠を越したみたいだ。
そこへ、夜中にゴソゴソしている私に気づいた父さんが入ってきた。朝から雪掻きと仕事が控えているのに私が物音を立てているものだから、父さんは不機嫌そうな顔をしている。
「おい、さっきから何をしているんだ。母さんの調子が悪いのか」
「うん。さっきまでひどかったんだけど治まってきたのよ。あれだけしつこかった熱も引いてきたのよ」
私は目もとの涙を拭いながら微笑んだ。私が母さんのそばで泣いているのに父さんは気づいた。
「そ、そうか。母さんのことが心配なのはわかるがお前もあまり無理をするな。お前も明日から学校が始まるだろう。父さんだって交代で看病するからな」
母さんの病気が回復して私が涙ぐんでいるのだと父さんは思っているはずだ。
「うん、わかってる。ありがとう。父さんにお願いしたい時は言うから」
父さんに促されて私は自分の部屋に戻った。数時間後には雪掻きをする父さんのために朝食とお弁当を作らなきゃいけないから、今からでもできるだけ眠っておいた方がいい。
朝、久々に学校に登校すると校門の所で澁澤君に出会った。私と同様眠そうな顔をしている彼に私はお礼を言った。
昨夜、あの寒さにもかかわらず、澁澤君は晶子さんと一緒に私たちが消えた地点でずっと雪舟の帰還を待っていてくれた。現世に戻ってきた時に、彼らが私たちを出迎えてくれて私はどんなにうれしかったことだろう。私がこの世に戻ってこられたのはあの時も彼のくれた護符を身につけていたからだ。
別れ際に彼はその涼しげな瞳で私を見て「今度異界での話を聞かせてほしい」と言ってきた。お寺の息子としてあの世での話は興味深いのだろう。彼と話をする機会も欲しいことだし私は喜んであの不思議な時間のことを語ってあげるつもりだ。
朝のショートホームルームの前に教室で座っていると、周りでクラスメートのざわめきが聞こえた。私は皆の視線が集まる場所に目をやった。


