眠り姫の憂鬱。



羨ましいのはこっちの方、とは言えない。


「じゃあ、私こっちだから」


その子は今年から特進クラスに昇格したらしく、ふふんと得意げに笑って特進クラスのある校舎へ向かっていった。


でもやっぱり、羨ましいものは羨ましい。

例えばいろんな人に、私とあの子のどちらの生活が充実しているかと問えば、十中八九あの子と答えるだろう。


私はゆっくりと保健室に足を運びつつ、ぼんやりと窓から覗く空を見上げた。

授業を受けようか迷ったけれど、今日の1時間目は体育。

無理だと悟った私はそのままゆっくり歩みを進めた。

こればっかりは仕方ない。


2時間目から受けることもできるけど、1時間目をサボった私に向けられるクラスメイト視線は冷たく、それを知っているから教室に行く気持ちになれない。