眠り姫の憂鬱。



学校に着くと、もうちらほら登校している生徒が見えた。


「あ、葉月!おはよ」

「おはよー」


後ろから声をかけてきたのは去年同じクラスだった女の子。


「今日は授業受けるの?」

「わかんないー」

「ホント緩いなあ、葉月は」


確かにそうかも。

調子がいい日でも教室に顔を出さないのは事実だ。

基本いつも授業は受けないから教室には行かないし、だからクラスの子は昨日私が休んだとは知らないだろう。

ましてや、今年違うクラスのこの子なんて絶対に知るはずもない。


なんで休んだのかって聞かれたら困るから、気付かれない方が有難いのだけど。


「私は葉月が羨ましいよ」

「…アハハ」


自分が知られないように気をつけているのに、認識されてないからこそ放たれた言葉に勝手に傷ついてる。

グサリと鋭利な刃物で一突きされた気分だ。