眠り姫の憂鬱。



一日ぶりに楓と会えると思ったらにやけてきちゃいそう。


今日はなんて言って楓を惹こうかなって考える。

いっそのこと困らせてしまうのもありだよなあ、なんて。


残りのバターロールパンを口に詰め込んで、ココアを飲み干す。


歯を磨いて、濃紺のプリーツスカートをパンッと軽く叩いたらローファーに足を突っ込んだ。


「いってくるねー!」


大きな声でそう言うと、リビングから洗い物をしているお母さんのはあい!気をつけてね!というという声が聞こえた。


私の家から学校は歩いて行ける距離にある。

それがいいと思ってこの学校を選んだからだ。

ただ特別遠いわけでもないが、近いわけでもないので、そこが玉に瑕だったりする。