「久しぶりだね、雅ちゃん」

私の目の前に座っている笑いジワが深いおじいちゃんは私の先生。


「お久しぶりです!」


つまり、私の担当医さんだ。


「最近はどうかな?」

「びっくりするぐらい元気ですよ!」


自分でも嘘なのか本当なのかわからない言葉を暗示のように発する。

もう何十回、何百回とあることだ。


先生がそれを嘘か本当か、どっちとして捉えたかはわからないけど、ただ優しく微笑んでくれた。


「それはよかった。その様子だと、学校も楽しんでるみたいだね」

「そうなんです!好きな人が出来て…!今度こそ運命の人だって思うんです!」

「雅、それこの前の検査の時も言ってたよ」

「ちょ、お母さんっ、しーっ!」


人差し指を口に当ててお母さんに訴える。

それ、言ったらダメなやつ!!


そんな私を見て先生は笑みを零した。