ダイニングテーブルにはこんがりと焼かれた食パンと私の大好きなイチゴジャム、とろとろのスクランブルエッグ、タコさんウインナー、そしてサラダがワンプレートに収められている。
「おはよう、雅」
「おはよ!美味しそう!」
私は冷蔵庫から冷たいオレンジジュースを取り出してお気に入りのコップに注いだ。
「いただきます!」
お父さんはもう会社に行ってしまったようで、お母さんとふたりで朝食を食べる。
テレビから、今日の天気は晴れだという予報が聞こえてきた。
今日の私はそんな些細なことでもテンションが上がっちゃいそうだ。
いや、無理矢理上げようとしちゃう、と言った方が正しい。
朝食を食べ終えると丁寧に歯を磨いて、支度を済ませる。
それからお母さんの運転する車に乗って、約15分。
久しぶりのその建物が見えてくると、心臓がドク、ドクとゆっくり、大きく、確実に脈を打っていることがわかる。