眠り姫の憂鬱。



「お兄ちゃん、アイス買ってきて」

「え?」

「アイス食べたくなってきた。買ってきて」


楓は意味わからんって眉を顰めたけど、私的にそれは七海ちゃんの"構って欲しい"っていうアピールなんじゃないかって思った。

なんたってツンデレだし!

ものすごく突然な発言だけど!


文句を言いつつリビングをあとにした楓を、ひらひらと手を振って見送った。


視線を感じて七海ちゃんの方に振り返れば、プイッと顔を逸らされてちょびっとだけ傷つく。

私はそんなに嫌われてるのだろうか。


「あんた、あれ取ってよ」

「あんたって私のこと?雅って呼んでくれないの?」

「……、」

「なーなみちゃん!」

「…早く取ってきてよ雅!!」


名前を呼んでもらえたので気分が良くなった私は、頼まれたとおりに棚の上の箱を取ってあげた。