真剣な顔だから、きっとこれはふざけているわけじゃないんだとわかった。
なんでそんなこと聞くんだろう?
けど、私はそれしか思わなかった。
楓の質問の意図が全くわからなかったからだ。
「だから、簡単に男の家に入ってもいいのかって聞いてんの」
「だってそれは、楓だから」
「俺だから何?」
楓は出会ってそんなに間もないけどそれなり信用しているし、優しいのは知っているから。
って言いたいのに、楓の鋭い眼差しに私だけの時間を止められたみたいに何も喋れない。
「お前はもっと人を疑うことを覚えた方がいいよ」
「……、」
「とりあえず、俺以外の男の家は警戒すること。簡単に入るな」
「えっ、それって楓のお家は行ってもいいってこと?」
ズイっと顔を近づければ、楓は面食らったような顔をして
「入れば?」
ぶっきらぼうにそう言って、手を退けてくれた。



