眠り姫の憂鬱。



放課後、保健室まで楓に迎えに来てもらって、一緒に楓のお家へ向かった。


「えへへ…」

「…何一人で笑ってんの」


楓は、私を変質者を見るような目で見てくるけど、全く気にしない。

すっごい楽しみなんだもーん。


それはそれはスキップしそうな勢いで楓の後ろを付いて歩いていると楓が急に止まって、こういう時のお決まりだけど楓の背中に顔面をぶつけてしまった。


「、った〜!」

「ちゃんと前を向いて歩けよ。信号赤だぞ」

「ごめんなさい。ちょっと浮かれすぎました」


へへって笑ってみせると、眉尻を下げて大丈夫か?って顔を覗き込んでくる。

そういうさり気なく優しいところ、好きだよ!!


「男の子のお家に初めて行くからって、ちょっと興奮しすぎだよね」

「初めて?」

「うん!」


大きく頷くと、楓は何かを考え込むように私を視界から外してじっと前を見つめる。

私、また何か変なことを言ってしまったのだろうか?