眠り姫の憂鬱。



楓は溜め息を吐いて、布団を深く被った。


あれれ、呆れるほど怒っちゃった?


「楓、ごめんなさい。怒らないで」

「怒ってねーよ」


ベッドの中からくぐもった声が聞こえる。

ホントのホントに怒ってない?って聞きたいけど、執拗いともっと怒っちゃうかもしれないから、やめておいた。


「怒ってないならなんでベッドに潜ってるの?」

「…頭が痛いからだよ」


保健室に来た時はそう言ってたけどさ。


「…それって嘘だったんじゃないの?」

「……、」


だからって私は楓が保健室に来てくれた理由はわからないけど、楓に会えてハッピーだからそんなのわからなくたっていい。


「ねえねえ。帰りに遊びに行こうよ」

「おまっ、テスト週間だぞ?勉強しろ」


やっと布団から顔を出した楓は、また難しい顔をしていた。

今日はそんな顔ばっかり見る。