驚く私に楓は眉を顰めて私を見てきたから、確実に彼は私の知ってるホンモノの楓だ。


「なんでなんで!!なんで来たの?」

「べ、別にお前が心配だったからとかじゃないからな?俺は頭が痛くて休みに来ただけだし」

「えっ、そうなの?大丈夫?薬は?」


私が質問攻めすると楓はますます顔を険しくする。

そんなに頭が痛いのだろうか?


「ベッド全部空いてるからどれでもいいよ!好きなの選んで早く寝て!」


楓はゆっくりと一番奥のベッドに腰をかけた。

楓は窓際派なんだね。

私と一緒だ!なんてくだらないことで喜んでみたり。



「お前、本当にいつも保健室にいるのか?」


突然、楓はそんなことを聞いてきた。

てっきり楓はもう直ぐに寝てしまうのだと思っていたから少しびっくりした。


「そうだよ!ほとんど毎日ここにいる」


そんなことを聞いてくるということは、大方噂を聞いたからだろう。

"眠り姫"の噂を。