眠り姫の憂鬱。



見た目がかなり遊んでそうな顔だったから、こんな勉強好きとは思ってもみなかったよ。

人は見た目で判断しちゃダメなんだなあ。


「どれ?あ、これかぁ」


勉強自体は苦手じゃないし、少し教えるくらいだったらやるけどさ。別に好きでもないんです。

うーん、どう教えたらわかりやすいかな。


あーでもないこーでもないと考えていると、男の子はまた私の名前を呼んだ。


「はい?」

「あの、良かったら連絡先交換しない?」


その時、私の視線は男の子を通り過ぎ、廊下へ向いた。


三郷くんだ!!!

そう思ったとほぼ同時、一瞬だけど三郷くんがこちらを向いて目が合った。


私は思わず、ガタッと席を立ち上がる。


「ごめんね、そこの問題は先生に聞いた方がわかりやすいと思う!」

「え?ハヅキちゃんっ?」


私の頭の中はもう三郷くんでいっぱいになってそれ以外考えることなく、三郷くんを追う。