眠り姫の憂鬱。



教室に行くとそこには真依が待ち構えていて、私にコソッと耳打ちしてきた。


「あんた、結城先生との噂流されてるよ」


あー、もう真依にも噂がまわってんのか。

じゃあ三郷くんも聞いちゃったかもなあ。


「知ってるよ。先生にも話してきた」


へらりと笑って言うと、真依は顔を顰めた。


「誰に聞いたの?」

「えっとね、昨日のお昼頃に保健室の近くの廊下で女の子たちが話してるの聞いちゃって」

「…なにそれ」

「ナイスタイミング!って感じだよねぇ。ていうか、なんで三郷くんじゃなくて結城先生なんだろ」


私は噂を聞いてもなんとも思わなかったっていうか、疑問しかなかったっていうのに、真依はなぜか悲しそうな顔をする。


「噂以外にも、なんか言われなかった?」

「へ?」


ああ、女の子たちはなんか私の悪口も言ってたかもしれない。