反対に私は楓よりも経験があるはずなのに、赤面している。
「雅が動揺してるの見ると逆に余裕になるわ」
そう言って笑うからなんだか悔しくなるし、キュンとしてしまったことも敗北感が否めない。
「ズルいよ!なんで今!」
「で、写真撮るんじゃなかったの?」
「あ、うん。撮る!」
はいチーズの合図で撮った写真の自分は今までのどんな時よりも幸せそうな顔をしていた。
その写真をちゃっかりスマホの待ち受け画面にする。
どうせ楓は待ち受けにはしてくれないだろうけど、せめて見返して今日のことを思い出してくれるといいな。
「今の画像送ったからちゃんと保存して大事にしてね」
「わかったわかった」
後日、桜を背景にした私の後ろ姿の画像が楓の待ち受け画面になったことは学校中で噂された。
【完】