もし、タイムスリップして今から同じように冷たかった楓にアタックできるかと聞かれたらきっとできないだろう。
そう思うとタイミングが良かったんだなって。
初めて会った時に感じた運命は間違いじゃなかったんだって。
「そういえば楓、昨日また告白されたって噂を聞いたけど!」
最近楓は人気に拍車がかかり、モテまくっている。
なんでも、雰囲気が柔らかくなって話しかけやすくなったらしく、暗黙の了解は破られまくり。
私には全く変化がわからないのだけど、楓の友だちくんによると確かによく笑うようになったという。
真依も同じようなことを言っていた。
そんなわけでこちらとしてはこの頃ずっとハラハラしている。
「彼女がいますってちゃんと断らなきゃダメだよ!私という姫がありながら!」
「は?」
楓は何言ってんだお前、といったような表情でこちらを見た。
自分で姫と言ったことが目も当てられないくらい痛いことはわかっている。
「だって、楓、私が目覚めた時呼んでくれたでしょ?眠り姫って」
「それは!お前が!目覚めた時はそう言って欲しいってしつこく頼んできたからだろ!」
それはそうなんだけど、冗談半分で言ってくれるわけないと思って頼んだのに言ってくれたもんだから嬉しくて。



