「あ、いや、その、駆琉くんとは、えっと…、」
嘘は得意なはずなのに、こういうボロが出てしまった時は弱い私は吃ってしまう。
やばい。誤魔化すの下手すぎる。
「はあ、わかったよ。もう別れたんだな?」
楓は呆れ顔で溜め息を吐く。
付き合ってさえいなかったけれど、誤解を解く必要もないかと思った私はそれにイエスともノーとも返事をしなかった。
楓と再び会うことを目指していたのに、そのために闘病生活も頑張ろうと思っていたのに、もう会えてしまったしこうして会いきてくれていることが嬉しくて、幸せすぎて、このままでいいとさえ思ってしまう。
もちろん生きたいとは思う。
応援してくれる家族に応えたい気持ちはあるし、また友達と会いたい気持ちもある。
けれどこの先今以上の幸せがあるのかと考えてしまう。
それほどに楓が"会いに来てくれている"という事実が大きかった。



