眠り姫の憂鬱。



「雅ちゃんも大切な人がいるなら、これからどう関わっていくのか考えた方がいいわ。私たちは人一倍考えなきゃいけない。相手のためにも、あなたのためにも」


あの時は幼すぎて意味がわからなかった。それを理解できなかった。

自分の病気のことすらよくわかっていなかった。


今なら何となくだけどわかる気がする。

それほどに病気というものは重いものなんだってこと。

周りの人に負担をかけるってこと。


あれからよく考えてみたけれど、『ただの友人』の楓を巻き込むわけにはいかないという考えに至った。

楓は七海ちゃんのこともあるのに、わたしのことにまで心配をかけたくない。


思えば、楓と出会ってから私の世界は色を増して、私が意味付けられた。

毎日が驚きの連続だった。

凹んで不安で仕方なかった時でさえ色は消えることは無くて、毎日が輝いていたように思える。