眠り姫の憂鬱。



「今は雅ちゃんと同じ歳の息子もいるから、早く治して一緒に遊んであげたいの。ずっと構ってあげられなかったから」

「みやもなつさんとあそびたい!」

「ふふっ、なら3人で遊びましょ」

「うん!そのこのおなまえなんていうの?」

「えーっとね、」


女の人は窓の外に目線を移し、指を指した。


「ほら、ちょうどあそこに見える木の名前わかる?」

「もみじ?」

「そうね、確かに似てるけど少し違うの。──って言うのよ。いい名前でしょ?仲良くしてくれる?」

「うんっ!」


病院での生活が長い私は友達なんてほとんどいなくて、まだ会ったこともない男の子と勝手に友達になった気でいた。

結局、その後私はすぐに退院してしまって、その男の子にも会わずじまいだったし、なつさんがどうなったのかも知らない。


なつさんは元気に暮らしているのだろうか。

素敵な旦那さんと息子さんと共に幸せな生活を送っているのだろうか。