眠り姫の憂鬱。



入って最初に見えたのはこの水族館目玉の巨大水槽。

アクリル板の向こうにたくさんの魚が優雅に泳いでいる。


「見て!サメもいる!」


サメをこんな近くで見るのは初めてで、その目付きの鋭さや堂々たる泳ぎっぷりの迫力は凄まじい。

ほかの魚が食べられないことを不思議に思いながらも、一緒に泳いでいる姿が可愛くも見えた。


「あ、カニ!」


これって食べられる種類なのかな?


「お前今おいしそうって思っただろ」

「お、思ってないよ!食べられるのかなって思っただけで…、」

「同じじゃねーか」


楓は呆れ顔で笑う。

私はちょっとだけ恥ずかしくなって楓の顔をを見れなかった。


『水槽の中のお友達』と書かれた魚たちの解説に目を移すと、マグロという文字が目に入る。


「え!マグロもいるの!」

「食べ物ばっかじゃん」


我に返った私もさすがに言い逃れできなくて、ヘヘッと笑うしかなかった。

私ってこんなに食い意地が張っていただろうか。