「言っとくけど、雅ちゃんが三郷に猛アタックしてるって有名だからね」
口に出していないのに疑問に思っていることを答えられたということは、顔に出ていたんだろう。
「猛アタックって…、」
そんなふうに言われているなんて恥ずかしいな。
だけど事実には変わりない。
「一目惚れだったの。それから楓と話すようになってもっと好きになった」
「意外だな。三郷って冷たいイメージだし」
「そんなことないよ!楓は照れ屋なだけで…。たまに不安になるんだ。私なんかが好きになってもいいかって」
私なんかが追いかけ回していいのかって。
「…そんなに好きなんだ。俺もそんなふうに思われたかったな、」
「駆琉くん、好きな人いるの?!」
「…知りたい?」
「うん!」
「……俺の好きな人は、」
と、その時、話を遮るように扉が開いた。
そちらを見れば、息切れをした楓が立っていた。
「楓…?」
「雅、なにしてんの…、」
「え、」
なぜか楓の声色には怒りが含まれている。



