眠り姫の憂鬱。



「雅ちゃん、目、覚めたの?」

「心配かけてごめんね、もう大丈夫!」


駆琉くんと入れ替わりで、先生は職員室に戻っていった。

私が目覚めたことを私の家に連絡するらしい。

駆琉くんはベッド脇の椅子に腰かけた。


「俺こそごめん。無理に誘ったから…、」

「駆琉くんのせいじゃないよ。ただ運動不足で貧血起こしちゃっただけだから」


駆琉くんの顔を見ていると、こちらの方こそ申し訳なってくる。


「それより駆琉くんはマラソン大会を棄権したの?ごめんね、私のせいで」

「そんなの気にしなくていいよ」

「運んでくれたのは駆琉くん?ありがとう!」

「…どういたしまして」


駆琉くんの表情が少し明るくなったので安心する。

駆琉くんは水を買ってきてくれたらしく、差し出されたのでお礼を言ってから受け取り、さっそく口に含んだ。


「…ねえ、雅ちゃんはなんで三郷のことが好きなの?」

「えっ!」


急な話題変換と質問の内容に驚いた。

なんで私が楓のことが好きって知ってるんだろう。