眠り姫の憂鬱。



目を覚ますと、視界には白い天井とクリーム色のカーテン。

一瞬、病院に運ばれたのかと焦ったけれど、病院特有の消毒の匂いがなかったので保健室だとわかった。


ホッと胸を撫で下ろし、時計を確認するとマラソン大会が開始されて約30分が経ったところだった。

意識を失っていた時間があまり長くなかったことにも安心する。


そういえば、真依や駆琉くんはどこに行ったのだろう。

ゆっくりと起き上がり、カーテンを開ける。


「おお、起きたか」


どうやらここにいるのは結城先生だけらしい。


「だから無理すんなって言ったのに」

「ごめんなさい、」

「親御さんには連絡したからな」

「えっ」

「当たり前だろ。倒れたんだから」


ぐうの音も出ない。

帰ったら怒られるだろうな、と苦笑いした。


「真依と駆琉くんは?」

「岡野は担任に伝えに行って、吉川は飲み物買いに行った」

「そうなんだ」


そんな話をしていると噂をすればなんとやら、駆琉くんが戻ってきた。