でもその余裕はすぐになくなって、だんだん息が苦しくなっていった。
足はふらつき、眩暈を覚えた。
「ちょっと、雅?!どうしたの?!」
真依の声が聞こえるけど、返す余裕すらない。
視界はぐらぐらするし、上手く息が吸えず、その場にしゃがみこんだ。
「雅ちゃん!」
少し前を走っていた駆琉くんが駆け寄ってくるのが暗くなってゆく視界の中でギリギリわかった。
ダメだったんだ。
やっぱり私の体じゃ持ちこたえられなかったんだと悟る。
始まってまだ数分。体感ではまだ3分程しか経っていない気がする。
「雅!雅!しっかり!」
「俺が運ぶ!」
もう開かない瞼の向こうからふたりの声が聞こえたあと、私の意識は途切れた。



