「真依ってもしかして賞品狙ってる?3位以内目指してる?」
「はい?そんなわけないでしょ。陸上部に勝てるわけない」
うちの学校のマラソン大会は男女それぞれ3位以内にゴールすれば豪華賞品がもらえる。
それ目当てに頑張る生徒も少なくない。
「ふふっ、いけるよ真依なら」
「何を根拠に言ってんのよ」
勘弁してくれ、という顔がおもしろくて、ついからかってしまった。
「じゃあ真依は私と走ってくれる?」
「当たり前でしょ」
真依の優しさが身に染みる。
それじゃあもし何かあったとしても安心だと思う私は、自分の行動に対して無責任だろうか。
その日の夜、私はお母さんにマラソン大会のことは話さなかった。



