真依は保健室近くでピタリと足を止めると、私に向き直った。
「ミヤ!あんた誰に向かって告ったか、わかってる?」
「わかんない。だってまだ名前聞いてないし…」
そう答えた私に真依は溜め息を吐いた。
「学年でイケメンって騒がれてる三郷 楓《ミサト カエデ》くんだよ?」
「わあ!名前もかっこいい…!」
「呑気に言ってる場合じゃないの!人気者に告白して、これ以上女子の敵作ってどうするの!」
まあ、確かに。
彼が人気なのは分かるけど、なんで告白したらみんな怒るの?
告白は個人の自由でしょ?!
「でも、私はたぶん彼が好きだし…、」
「…三郷くんのこと、本当に今日知ったんだね」
「そんなに有名なの?」
「当たり前でしょ!あれほどのイケメンを女子たちが見逃すはずがないじゃん」
まあ、その通りなんだけどさ。
まさか告白しただけで女子を敵に回すとは。