教室に戻ってみるとまだ文化祭気分が抜けない人が大半で騒がしく、まだボーッとしている頭が痛くなった。

クラス全員が揃うとあっさりSHRは終わり、ダラダラと帰り支度を始める。


「葉月!」


真依は他の子と話しているしもう帰ろうと教室を出た時、吉川くんに話しかけられた。


「今日の打ち上げ、来る?」


打ち上げ?そんなものがあるのか。知らなかった。

せっかくのお誘い、嬉しいけれど私は首を横に振った。


「私、門限が早いから」


それに今日みたいな日は早く休まないと体調を一気に崩してしまう。


「そっか。残念…。またな」


吉川くんが本当に残念そうな表情をするものだからちょっぴり嬉しくなった。

私も少しはクラスに馴染めたのではないかと。


「あ、吉川くん!王子カッコよかったよ!」


教室に戻ろうとしていた吉川くんの背中にそう言うと、吉川くんは振り返り頬を染めて、ありがとうと言った。

私は笑みを浮かべ、吉川くんに手を振りながら帰路についた。


あとで真依には連絡しておこう。


そしてもちろん楓にも。

今日はありがとうって送ろう。