割と回転が早いのか、そんなに待つことなく教室に入ることができた。
案内してくれたのは楓ではなく知らない女の子だった。
チラリと楓を盗み見ると写真を求められていて声をかけられそうにもなかったので、女の子に従い席に座る。
手作り感満載のメニューを見ながらバンケーキでも頼もうかと思案していると、椅子を引く音が聞こえ頭を上げた。
そこにいたのは吉川くんだった。
「葉月も来てたんだね」
相席良い?と聞きながら私の向かいに座る。
返事聞く前に座ってるじゃんか、と笑いそうになった。
「お疲れ、吉川くん」
「葉月もね。大成功だったじゃん」
「それは吉川くんが王子様だからだよ」
「どうかな」
満更でもなさそうなところを見る限り、自分がカッコイイことを自覚しているんだろうなと思う。



