眠り姫の憂鬱。



そして放課後。

帰ろうとカバンの中に必要なものを詰めていたとき、保健室に忘れ物をしたことがわかった。


あーあ!保健室に寄らなきゃ。


いつも一緒に帰っている真依に謝って、私は教室を出たのだけど、廊下に出た私は目に映る光景に思わずニヤけてしまった。


たぶん今日はめちゃくちゃツイてる日なんだと思う。

だってそこには塩顔男子の彼がいたんだから。


私は躊躇いなく彼に話しかけた。


「あの!すみません!」


振り返った彼が私を見ると少し目を泳がせた。

え?なんか動揺してる?


「え、何?」


彼の隣にいた、彼の友達らしき人が聞いてきたけど、私はそのまま続ける。


「足、大丈夫ですか?」


足に湿布を貼っていたことを、ふと気になって尋ねてみた。

すると彼は、えっ!大丈夫だけど…と明らかに動揺してみせた。

足のことを聞かれたのが予想外だったのだろう。