眠り姫の憂鬱。



ひとりで黙々と塗っていると、だんだんクラスの子たちが帰ってきて教室が賑やかになっていく。

なんだかひとりの世界から現実に引き戻されたような感覚で、私も青春時代の中にいるんだなと思い出させられた。


と、その直後、事件は起きた。


「あれ?ここに置いたはずのお金が無い」


そう呟いたのは予算委員の子だった。


「え?お金ってうちのクラスの予算の?」

「いくらぐらい入ってたの?」

「まだそんなに使ってないから1万円くらい入ってたと思う」


クラス全員の顔が固まり、ざわつき始める。


「茶封筒に入れて教卓の上に置いたはずなんだけど」


私はずっと教室にいたけど茶封筒は見てないし、途中ここに来た人は楓だけ、だと思う。

断言できないのは色塗りに熱中しすぎて周りを見ていなかったからだ。


楓はそんなことするわけないし、最初からここに茶封筒なんて置いてあったのだろうか?

それすら怪しい。