一之瀬くんが来たことは…
言わなくてもいいか。

「あ!ごめん!あたし汗臭い!?」


そう言って自分の匂いを嗅ぐしぐさをする。

忙しい人だ。

そして自分のことを平気な顔して語り出す。

「あたし、
中学校の頃から陸上部だったんだけど、
中3の時に膝壊しちゃって
長時間走れなくなっちゃったんだ」

「え…」

「だけど、やっぱり陸上が好きでね、
前の学校でもマネージャーやってたの」