傷だらけのココロに、癒しの愛を。〔仮〕



「…ってえ!!」

ボタンが半分くらいまで外されたとき、

急に茶色いスニーカーが見えなくなった。

かわりに見えたのは、
濡れた道路にお尻をついて
こちらを見上げる男の人。

…こんな顔、してたんだ。

茶色い縁の眼鏡で、青いポロシャツを着ている。

大学生、くらいだろうか。

「なんだよ、お前・・っ」

その顔が少し痛みに歪んでいる。

「おに―さんこそ、何してんの。」

あれ…?この声…

「警察でも呼ぶ?」

なんだか怒っていた男の人も
この一言で立ち上がって、
下手な舌打ちを残して小走りで去っていく。

みっともなく、お尻が、濡れていた。