木漏れ日が優しくて照らすとある森の奥深く

森の主である大木に体を預け眠る森の妖精。

「また 精気をわけてきたのかい?」

「えぇ。だって とても困っていたから」

眠る妖精に大木はゆったりと話しかける。

「お前は優しい子だとは知っている。けどね、お前を案じるものもいるんだよ。もう少し自分を大事にしてくれないかい?」

心配する声に少し気だるげに妖精は答える。

「平気よ。私は大丈夫。いつだって聖母《マザー》が側にいてくれるじゃない」

妖精たちの母たる大木は内心ため息をついた。
自分の側にいれば失った精気は回復できる。
それでも、度が過ぎれば、回復する力すら失えば命を落とす可能性もあり得るのだ。

(やれやれ。本当に困った子)

それでも、その優しさが心の底から愛しく、そして誇らしかった。