あ、あの背が高くてすらっとした後ろ姿。
寝癖の残る黒髪。

あれは…
「涼くんっ!」

「おはよ」

迷うことなく走っていった私に
びっくりすることもなく返した彼。
いつもの光景。
そして私は彼の隣を歩く。
いつもの、一番の幸せな時間。

「志帆、朝から元気すぎ。」

呆れたような声も
嬉しいから仕方ないの。

「早くしないと遅刻するよ」

そう言いながらも
私のペースに合わせてくれる。

「えー、もっとゆっくり話して歩こうよ」