桜の花が咲く頃に。

「ごめん、テキトーに走ってきちゃったけど家どこ?」

「えと…あの、ここです…。」

「あ、これ?近っ!てかデカっ!」

私の家は3階建ての一軒家で、自分で言うのも何だけどけっこうデカめ。

こんなデカいのに私はひとりっ子だから3人暮らし。

「話、戻すけどさ、どうしたの?話くらいなら聞く。」

やっぱり黒木くんは優しいな。でも、話していいことなのかな。

しかも本人だし。いや、誰って言わなければいいのかもしれないけど。

相談はいつも星奈にしてたから今回ばかりはどうすればいいかわからない。

いいや、話そう。

「じゃあ、聞いてもらえる?」

「もちろん。」

「あのね、私、星奈と同じ人を好きになっちゃったみたいなんだ。」

それから事実と私の思ってること、全てを話した。

星奈から好きな人ができたときいたこと、私は諦めようと思ったこと。

その話を全部、黒木くんは優しい表情で相づちを打ちながら聞いてくれた。

そのせいもあってか、ただ話しただけなのにまた涙が溢れてくる。