「あ…ごめんなさい。ほんとに」
「ぷっ、あはははは。全然、気にしなくていいよ。真琴ちゃんかわいいね、浴衣姿」
「あ、ありがとう」
一気に顔がほてるのがわかった。
何しろ、まだかの顔の距離でそんなことを言うもんだから。
途端に、私は彼の腕からすりぬけた。
一瞬、彼の表情が悲しそうになったけど、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「じゃ、行こっか」
「うん」
そうして、私たちは人ごみの中に入っていった。
周りはカップルばかりで。
私たちもそう思われているのかなと思うと、顔がにやけた。
「なににやけてるの?真琴ちゃん」
「べ、べつににやけてなんか…」
