「うふふ。さあ、行ってらっしゃい。楽しんでくるのよ」
「ありがとう。行ってきます」
準備が遅くて、待ち合わせ時刻が迫っていた。
遊ぶの初めてなのに、遅れちゃダメだ…。
急がなきゃ。
ふと、人ごみの中に雄斗くんを見つける。
あぁ、いた。
私のために、いるんだ。
浴衣姿かっこいいなぁ…。
「きゃあっ」
「だ、大丈夫?真琴ちゃん」
私の目の前には、顔を覗きこむようにしている雄斗くんがいた。
私は、一瞬なにが起きたかわからなかったけど、少し時間がたってから気がついた。
急いでいた矢先に、履きなれない下駄でつまづいて転びかけたんだ。
でも、がっしりとその体は雄斗くんに掴まれて、どうにか持ちこたえていた。
