髪はビショビショで、ボサボサで、息もあがってる私を見て周りの人たちはすごく不審そうに見てきたけど、この際そんなことは気にしていられない。
最寄駅からもまたダッシュ。
道に迷わないでなんとか着いたところ、もう渓くんや愛斗、正輝もいた。
「おっ、主役が社長出勤とはな」
こんな時でも渓くんは冗談をかましてくる。
「これでもすっごい急いだよ…」
ハアハアと息を切らしていると、
はい、と言ってタオルが渡された。
「ちょっと大げさかもしらんけどさ、みんなでお願いしよか」
「そうだね。きっと祐も見てくれてるはずだよ」
いつもは一人だけど、今日は違う。
四人きれいに並んで雨の降り止まない空を見上げる。
…祐、お願いだから、雨を止ませて…。みんな、この日を楽しみに頑張ってきたの…。
…祐くん、雨晴らしてくれへんかな。祐くんに、真琴から伝えたい、届けたい歌がある。それ聞くためにも、晴らしてください…。
