「どうやってって…そんなんわからんけどとりあえず、真琴と俺が一生分かけてお願いしたらきっと叶えてくれるはずや…!」


「そんな…根拠がないよ…」


「根拠なんかどうでもええ、…違うか?せっかくの今日のライブ、何もせんでできへんでいいんか?」


「それは…」


「じゃあ、願掛けでもなんでもいいから願おうや。ライブ会場で待ってる」


「ちょっ…」


そう言うと渓くんは一方的に電話を切ってしまった。


…行くしかないよね。


初心忘るべからずって言葉があるけど、ほんとその通りだよ。


昔はずっと、特に何ってこともないのに青空ばかりにお願いしてた。


…でも、さ。
曇り空であろうが雨であろうが、そこに誰かがいる。


…今は祐がいる。


だったら、いつでも本気でお願いしたらきっと叶えてくれるよね…。


急いで支度して、家を飛び出す。


ライブ会場まではそれほど遠くないので、全力で駅まで走った。