失ったものの大切さは、失ってから気づくよね。


人生って大体そんなもの。


過ぎてしまった時間はもう戻らない。


でもね、今過ごしてるひとときひと時が、なににも変えられないくらい大切だってこと祐が教えてくれたから。


…保健室の先生が言っていたことを思い出す。


もしかしたら明日、交通事故で死ぬかもしれない。病気になっちゃうかもしれない。


誰にだって『死』は訪れるものなんだから。


いつ死んじゃうのかもわからないんだから。


そう思ったら、生きてる、それだけで幸せなことなんじゃないかなって思う。


「…真琴?なに考えてんのや?」


「顔冴えてないけど…大丈夫?」

心配してくれる仲間がいる。
支えてくれる仲間がいる。


それがどんなに幸せなことか、今までは知らなかったよ。


…祐、いろいろ教えてくれて本当にありがとう。


「…大丈夫だよ!祐のことちょっと考えてただけ」


「そっか…それならよかったわ。あ、そや!昼飯どうする〜?」


いつものように機転を利かせてくれる渓くん。


「あっ、ごめん。私彼氏とデートだった」


新しい一歩を踏み出した柚美ちゃん。


…祐。私も一歩踏み出していいかな…?


「じゃあ真琴と二人っきりやん。これ、デートってゆうんちゃん?祐くんに怒られそうやわ命日にデートなんかしてって」


渓くんが冗談まじりに言う。


「祐はそんなことで怒ったりしないよ。絶対」


「わかってるよ、祐くんはそんな器小さないしな」


「…そうじゃなくてっ」


「…え?じゃあなに…?」


「祐は…祐は、私が好きになった人ならなにしても許してくれるってこと」


「………えぇぇぇ!!ちょ、真琴、それ本気で言ってる?」


「…冗談で私がこんなこと言うと思う?」


「まじか……まじか、まじか、まじか…」


そう言うと渓くんはいきなり駆け出して青空に向かって叫んだ。