そんな私を、ただ祐はだまって抱きしめた。
…渓くんがいてくれたから、成長できたから、私は祐を恨まずに済んだ。
もし私があの日のままだったら、祐に事情を聞くこともなく振り払ってしまったと思う。
そんな私たちを見て渓くんは、
「柚美には俺から話すわ。あとは真琴のこと頼んだで」
と言って展望台を降りて行ってしまった。
あたかも初めからこれが目的であったように。
それからただただ泣きじゃくった。
祐はそんな私をずっと抱きしめてくれていた。
時には頭をよしよしともしてくれた。
そんな祐の体つきは、心なしか前よりも痩せている気がした。
